今回も、令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の
諸課題に関する調査結果より、
不登校の子どもの相談・支援機関について
記してみたいと思います。
いざ、子どもが不登校になった場合、
学校内外にいろいろな相談窓口があります。
学校内においては、
養護教諭やスクールカウンセラーといった方々が
専門的な相談窓口となっています。
また、学校外においては、
教育支援センター(適応指導教室)、
教育委員会及び教育センター、
児童相談所・福祉事務所、
保健所・精神保健福祉センター、
病院・診療所、そして
フリースクールなどの民間団体・民間施設
などがあります。
学校内で相談・指導を受けた子どもは85,869人(47.4%)で、
学校外で相談・指導を受けた子どもは64,877人(35.8%)
となっています。以下の表にまとめてみました。
※( )内の数字は不登校児童生徒全体に対する割合
学校内 | 学校外 | どこにも相談していない | |
小中合計 | 85,869人 | 64,877人 | 53,593人 |
不登校児童生徒全体に対する割合 | 47.4% | 35.8% | 29.6% |
小学校 | 27,371人 | 21,885人 | 13,133人 |
中学校 | 58,498人 | 42,992人 | 40,460人 |
当然、学校内で相談を受けた子どもが、
学校外においても相談をするケースがあります。
その詳細はこのデータからは読み取れませんが、
どこにも相談・指導を受けていない
子どもの人数は53,593人
となっています。この割合は、
不登校児童生徒全体の29.6%にあたります。
つまり、不登校児童生徒のうち、
約3割の子どもはどこの機関とも繋がっていない
ということになります。
また、上記の人数の内、
フリースクール等民間団体や民間施設で
相談・指導を受けた人数は6,328人となっており、
これは相談・指導を受けている子どもの約12%に当たります。
私たちフリースクールを運営する者としては、
もっともっとこの数字を上げていき、
一人でも多くの子どもが何らかの支援に繋がれることが
良いことであると考えています。
そして、学校外での相談・指導を受けたことで、
学校の出席扱いとなるケース
があります。(指導要録上の出席扱い)
その人数は以下の通りです。
■指導要録上出席扱いとした児童生徒数(人)
国立 | 公立 | 私立 | 計 | |
小学校 | 14 | 6,170 | 28 | 6,212 |
中学校 | 52 | 19,365 | 237 | 19,654 |
計 | 66 | 25,535 | 265 | 25,866 |
近年では、自宅において
ICT等を活用した学習活動を
指導要録上出席扱いとするケース
も出てきています。
※小学生174人、中学生434人、計608人(内307人は上記表の人数としてもカウントされています。)
これは、不登校の子どもたちに多様な学びの場を
提供しようという考えから、
「教育機会確保法」という法律が成立したこと
によるところが大きいと言えます。(2016年法律第105号)
それまでは、学校復帰が大前提での不登校指導
であったために、
学びは「学校で」という考えが大きかった
のですが、子どもの学習権を保障するという考えから
「学校以外の場の学びも重要である」
という方針に転換されたのです。
筆者も不登校の子どもと関わり12年程になりますが、
以前は学校とフリースクールで子どもを引っ張りっこ
するような状況の時もありました。
フリースクールに通う子どもの保護者に対して、
在籍校の校長が
「何で学校に来ないで、そんなところに行くのか?」
「到底認められない!」
と高圧的な態度で迫るなどということもあったのです。
教育関係者の多くがそのような認識であったと感じます。
しかし今では、この「教育機会確保法」の影響もあり、
校長をはじめとする学校の先生方、
そして冒頭の相談・支援機関の相談員の方々においても、
まずは子どもに寄り添った理解ある対応になっている
のはとても良いことだと感じております。
まずは、不登校状況にある子どもが、
自分らしく安心していられる居場所に出会い、
その子どものペースで次のステップへと向かっていけることが
大切であると私たちは考えています。
そのためにも、不登校の子どもやその保護者の方々が
理解ある相談者や支援者との出会いを
どんどん求めていただけたらと思うのです。